ADHDつれづれ

ADHDは一般的に体を細かく動かす能力に問題を抱えていることが多い。手先の不器用さに限らず、全体的な体のコーディネーションがうまくできない。また、刺激への無節操な反応は、選択的な反応を強要されるプロフェッショナルな領域では解決困難な問題を引き起こす。これらのことから、「基本を積み重ねて、応用に至る」ということが不可能となる。僕のブレークダンスがフリースタイルすぎることと絡めて言えば、フリースタイルには二つの意味があって、文字通りフリーなスタイルという極端なフリースタイルと、基本をマスターした上でそれらを応用して自分だけの表現をするフリースタイルがある。「人に見せる」というショーの要素を無視できない以上、前者のフリースタイルじゃ自己を満足させることなぞできない。だが後者の用件をADHDの人たちが満たすのは、そうでない人たち以上の困難であることがある。

ADHDの人も、習慣として適切な行動(なにを適切というかはおいといて)を身に着けることはもちろんできる。習慣が身につきにくいADHDとはいえ一度身についてしまえば同じことなので、身につくまでの困難と余計にかかる時間をなんとか解決してしまえば最低限の生活はなりたつのだろう。しかし、ADHDに独特の学習パターンを理解した上での適切な外的支援なしには意図的かつ比較的容易な習慣の習得は難しい。とりわけ学習障害が並存している場合、その独特の学習パターンおよび症状を理解することが重要になる。

ADHDにはしばしばハイパーフォーカスと呼ばれる一発逆転の能力を持っていて、特定の事柄に興味が過集中しやすい。逆にこのフォーカスから外れた部分の興味はほとんど0、というわけで、どこに興味を持つかと言う人生をかけた宝くじにさらされている。外れたら、というかどう考えても世間様や資本様の気に入らないところでフォーカスがかかってしまうと非常に困ったことになってしまうわけです。

もちろん、うまくフォーカスがかかり、ある特定の物事に集中するADHDの人たちがその分野において必要な事柄をうまく習得できるかどうかは運という要素を除けば外部からの助けにかかっている。フォーカス対象が世間様や資本様の気に入らないところだった場合、本人や良心、周囲の不安と焦りを引き起こし、フォーカス対象をなんとか変えようとしがちで、それはしばしば、ADHDを強化する、強迫性障害、反社会性障害などの別の並存障害を引き起こす、モチベーションの低下などの悪循環をもたらす。

ADHDのひとたちはしばしば、不安などにさらされると、このようなフォーカスがうまく深化しないことがある。不安はADHDの持つハイパーフォーカスの逆の側面ー注意不足やモチベーション不足を悪化させることがあるからだ。せっかくフォーカスがうまくかかっても、モチベーション不足や、技術不足、周囲からの適切なフィードバック不足、そして環境がそもそもフォーカスを生かしきれないといった要因により、好きなのに伸びない、極端にフォーカスしているにもかかわらず成長が遅い、あるいは適切に成長しないもしくは成長にムラがあるという事態が起こりうる。これらは本人に絶望をもたらしやすく、多くのADHDの人たちは成人するころには、鬱、強い自己嫌悪、無力感、自殺願望、といったネガティブな感覚、そして反社会性および反権威、各種依存などを抱える。実際の業績に限らず、常に自分の能力への不信を抱え、自分は役立たずで能力がないダメ人間という感覚に悩まされていることもある。

これらの見えにくい内なる葛藤は、他動・衝動性優勢型、あるいは混合型ADHDの子供たちの多くが、大人になるにつれて他動・衝動性が収まって普通に見えていくことと関係している。これらのタイプの人たちは大人になるにつれて、とりわけ興味や緊張を維持できる初回の対面においてはごくごく普通の人に見えがちなので、ADHDではない、あるいはもはやADHDではないと勘違いされる原因になる。

ADHDの人たちはそうでない人たちより不登校になる、あるいは留年(ドイツでは不登校になると警察がお迎えに来るので不登校になることは大変難しい。場合によってはシベリア送り。成績が基準に達しないとあっさりと留年させられてしまう)ことが多い。とりわけADHDに加え、いくつも併発障害が加わると、困難はまるでドラがついた上がりのように増えていくわけで、学校にそれでも行けた場合、それはむしろ奇跡かもしれない。

ADHDの人たちはPCやゲーム、映画、カフェイン、たばこ、麻薬などへの依存が、ADHDではない人たちより高い割合で見られる。慢性的な不快感に加え、摂食障害睡眠障害などを併発していることも多い。

ADHDの人たちには一般的に知能の低下は見られず、大抵IQは平均以上、場合によっては卓越した値を示すことがある。処理スピードや物事を一足飛びにどんどん達成していく能力、追い詰められて花の咲く、「最後の3日がすべて」といった土壇場での試験勉強などには長けている反面、正確性や継続性、安定性には欠けることが多い。つまり空条承太郎スタープラチナ)はおそらくADHDはないっっっ!!!が、怒ったときの東方丈助(クレイジー・ダイヤモンド」)を見るにこの男はADHDかもしれないっ!!!

現状で、医学上の確固たる根拠をもたないものの、経験上知られていることとして、ADHDの人たちは、描画、絵画、芸術、メディア創作などのクリエイティブな能力に長けていることしばしばあることが挙げられる。絵を描いたりダンスをしたり、芸を好む人たちが多いことが特徴で、メディアや芸術・芸能分野はADHDに比較的向いているとされている。

これに関連したこととして、多くの人たちが自営業ないし、独立あるいはフリーランサー業を営んでいることが挙げられる。

上記はあくまでも全般的な話で、ADHDの人たちでももちろん差はある。というか症状のスペクトラムは千差万別なのがADHDだし。おまけに、専門家の話のコピペではなく、僕のこれまでのADHDに関する学習のまとめのようなものなので(この文章の元になった情報は専門家の文章に当たってるが)、これを医者や研究者が言っていることそのままなんてよいこのみんなは思(おも)わないでね。