ADHDのAD

結局以前のエントリで書いた、新しいほうの本を読んでる。これのADHDの概要の項目がうまくまとまっているので引用。今回はADHDのAD(注意欠陥)の部分。この概要の部分全部ぐらいは翻訳したいけど、そこまでやる分には作者に了解取ったほうが良いだろうなぁ・・・。めんどくさいので連絡も翻訳もやらない可能性大。誰もこのエントリ読んでないだろうし。他にも専門家への補足情報なんて項目もあったりして意外と興味深いぞこの本。もっともここまでは全部本編の前の予備的項目で、本編は著者が実際診断とケアに当たった22の症例の紹介。一般人と専門家両方に向けて書いたっぽい感じが漂ってる。

注意欠陥障害と乱雑さ


ADHDの人たちは子供のときは、学校のクラスで、家で宿題をしているときなど、大人になってからはミーティングや講義、仕事場で集中力をしっかり持続させるのが困難です。思考が中断されたり、周囲の刺激に反応しやすいため、ちょっとした出来事などに注意を反らされたり、タスクに集中するのに苦労します。一日の流れの中で仕事の計画を立てオーガナイズすることを試みる際にも支障をきたします。わざとではなく、どちらかといえば多くの課題に対して必要なエネルギー消費が大きいからなのですが、ぎりぎりになって気分が盛り上がり、「よし、今なら出来る」と感じられるようになるまで先延ばしにされがちです。当然途中で放棄された事柄や、請求書類は山のように積み上げられ、メモ類は床に散らばりただ、完成されるのを延々と待つばかりで、あたかもカオスの世界です。約束は守られず、遅刻は日常茶飯事です。しかし、興味深い課題に取り付かれたように時間を忘れて熱中して、ほかの事はすべて後回しになってしまうこともあります。ADHDの人たちは、集中して仕事ができても、それが長続きしない恐れを感じ取り、へとへとになるまで仕事をしてしまいます。

集中力や注意力の欠如、注意散漫、無秩序さによる困難は、青年時代においては学校や大学の中途退学や不登校という結果になりがちで、大人になってからは仕事をしょっちゅう変えるという形になりがちということが挙げられます。それゆえADHDの人たちは低い自尊心に打ちのめされます。教育を受けるADHDの若者達はしばしば、自身の並外れたの潜在能力を生かせずに高等教育ないしは大学教育を無事終えることができないことに苦しみます。

職業においても、たとえ収入を得られなければ命の危険があるほど財政的に困窮する可能性がある、という動機があってすら期日を守れません。物忘れ、勘違い、ものをなくすといったことも典型的な特徴です。重要な約束は守られず、鍵や定期券はどこに行ったか分からなくなります。

ADHDの人たちはしばしば幼少時代に読書時の困難、正しく文字を書く際の困難ないしは計算時の困難を訴えます(読書障害や計算障害)。これらは大人になってからも、しばしば文章を最後まで書かないあるいは単語やつづりを端折るなど、小さな間違いとして現れることがあります。最後まで本を読み終えることは多くのADHDの人たちにとっては、不可能なことの内のひとつです。計算障害のために、例えばウエイトレスとしてレストランで勘定を計算するような(スイスのレストランではではレジで会計せず、直接客の隣で勘定を計算することが多い)簡単な暗算ですら困難をもたらします。

ADHDの人たちは、自分の夢の世界に傾倒し、そこで我を忘れ、貴重な時間を無為に過ごしがちです。人との会話の中でも彼ら・彼女らの思考は中断されます。この本でも後ほど、初回の診断の最中に突然アクションフィルムの世界に飛び出して言った男の子の患者の話を収めてあります。


Dr. med. Doris Ryffel-Rawak著 『おとなのADHD より